最新の波長308nmエキシマライトは、世の中の皮膚難病の治療に貢献しています!
エキシマレーザー/ライト光線治療の優れた有効性は、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)によって、認証されています。
現在、エキシマレーザー/ライト光線治療は軽度、中度、または重度の乾癬の成人および小児患者に適応があり、アメリカ米国皮膚科学会はエビデンスのレベルはIIであり、推奨の強さはBであります。
エキシマライトは、塩化キセノンの 308 nm 単色光という点ではエキシマレーザーと同じであり、monochromatic excimer light (MEL)とも呼ばれています。
日本皮膚科学会ガイドラインの乾癬の光線療法ガイドラインによると、「308nmエキシマライトは、乾癬治療に理想的な光線治療と言える」という記載があります。
乾癬は、症状により様々な治療法がありますが、広範囲に発症していたり、症状が重症な患者様にはエキシマライト治療法がおすすめです。
エキシマライトの光線療法によって、白斑に色素を再生させる効果や、乾癬の手強い発疹を改善させる効果などがあります。
乾癬治療において、光線療法に活性型ビタミン D3 外用療法を併用することで相乗的効果が期待されます。また、総照射量を減らすことができます。
エキシマレーザー/ライトの起源と現状
エキシマレーザー(Excimer Laser)は、1970年にアメリカで、Nikolai Basovたちによって、キセノンダイマー(Xe2)を使用して発明されました。その後にこのキセノンダイマー(Xe2)を使用し、波長172 nmレーザーを放射する技術は、工業領域や、軍事領域などで多く使用されていました。
1997年に、Bonisたちは、初めて,皮膚科学の領域における乾癬治療に対する308 nm XeClエキシマレーザーの治療効果を研究しました。彼らは、エキシマレーザー治療を使用して、中度乾癬患者10人を対象に臨床試験を実施しました。その結果は、308 nm XeClエキシマレーザー治療法は乾癬に優れた治療効果があると結論付けました。
現在、308 nm XeClエキシマレーザー治療法が皮膚科の治療への導入された以来、非常に有効な光線治療法としてのエキシマレーザーの使用は、乾癬だけではなく、多くの皮膚疾患治療への応用に拡大してきました。
エキシマレライト光線治療法は現在、軽度、中度、または重度の乾癬の成人および小児患者に適応があり、アメリカ米国皮膚科学会はエビデンスのレベルはIIであり、推奨の強さはBです。
医学領域でエキシマライト光線治療は、アメリカでは1995年にFDA(米国食品医薬品局)によって、日本では2000年1月に厚生省(現・厚生労働省)によってその使用が認可されている。また、エキシマレーザーに発癌性のないことが確認されています。
現在、308 nmエキシマライト治療法は、乾癬、白斑、色素脱失障害、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、および皮膚T細胞リンパ腫、その他のリンパ増殖性疾患など、他の多くの皮膚疾患を含む多くの疾患の皮膚科の全体で広く使用されている光線治療法です。
エキシマライト光線治療の作用メカニズム
エキシマレーザーの 308 nm光は角化細胞、色素細胞、線維芽細胞の DNA をターゲットとします。そして T 細胞のアポトーシスを誘導し、T 細胞の増殖を抑制します。これらによって乾癬などの炎症性疾患やリンパ腫に有効とされています。
適応疾患は NB-UVB の適応疾患とほぼ同様です。すなわち尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、菌状息肉症、扁平苔癬などが挙げられます
白斑の治療におけるエキシマライト光線治療の有効性
白斑は、メラノサイトの選択的破壊によって引き起こされる一般的な特発性後天性色素脱失疾患です。白斑の皮膚疾患は100人に1人と考えられており、その発症原因は年齢、性別、人種とは関係ありません。白斑の特徴で、健康な肌とはっきりと境界があります。白斑を治療せず放置しておけば、白斑は時間の経過とともにだんだんと拡大する可能が高いと証明されております。または、時間の経過とともに拡大したり縮小したりし、頻繁に変化する場合もあります。
エキシマライト光線治療器の照射強度が強く、ナローバンドUVBの10倍以上であるため、ナローバンドUVBよりも皮膚の深い部位にも届くことができます。
海外の研究では、白斑の治療において、308nmのエキシマライト光線治療は、311nmのナローバンドUVB光線治療よりも速く、短時間で色素細胞の再生を促進し、白斑をより早く治すことができることを示しています。エキシマライトの有効性は90%以上だと認証されております。
エキシマライト光線療法で白斑を治療する場合は、色素細胞の再生パターンは、下記の4つに分類されます。
①白班のまわりから色素が再生する
②白班の中の毛穴から色素が再生する
③全体的に色素が再生する
④それらが混合し色素が再生する
この中でも、②白班の中の毛穴から色素が再生するパターンでは、白班が治癒する可能性が高いと言われています。
乾癬の治療におけるエキシマライト光線治療の有効性
乾癬発症の原因は、遺伝的要因や、外的要因や、免疫系の異常などと関係しています。
1、遺伝的要因
乾癬は家族内発症の割合が高く、遺伝的な要因が発症に関与していると考えられています。
2、外的要因
(不規則な生活や食事、精神的ストレス、肥満、糖尿病、高血圧、季節、感染症、特殊な薬剤など)の相互作用で、免疫に異常が生じることで発症すると言われました。
物理的刺激(外傷や日光皮膚炎など)、感染症(レンサ球菌など)、薬剤(リチウム製剤、β遮断薬、カルシウム拮抗薬など)が原因と考えられています。
3、免疫学的要因
免疫系の異常でサイトカインなどの伝達物質が炎症をひき起こし、角化(表皮細胞の分裂)が正常にできなくなると考えられています。
乾癬の病態に関与しているとされたTh1に加え、IL-17を産生するヘルパーT細胞(Th17)とTNF-αを産生し、iNOS陽性の樹状細胞(TIP-DC: TNF-α, iNOS-producing dendritic cell )が関与するという説「 TIP-DC-Th17細胞学説」が提唱されています。まず、皮膚に存在するTIP-DCは、障害を受けた表皮細胞やNK細胞、マクロファージなどから分泌されるTNFα等で活性化されます。TIP-DC自身もTNFαをオートクライン方式で分泌します。活性化されたTIP-DCはIL-23を分泌して、Th17を活性化する一方、 IL-12を分泌し、Th1を活性化します。
波長308nmエキシマライトで患部を照射して、活動を沈静化させることができます
具体的には、病因となっている免疫細胞(リンパ球:T細胞)を直接Apoptosisへ誘導することと、この病因となっているT細胞を抑制するための制御性T細胞(T-reg)の誘導であります。制御性T細胞とはCD4陽性CD25陽性Foxp3陽性の細胞のことで、T細胞とサブセットで免疫抑制的に働き、自己免疫性疾患の進展を抑制することが知られています。
この直接的なApoptosisとT-regの誘導という2つのデュアルアクションが紫外線の免疫抑制作用として働き、過剰反応を起こしている病変部を沈静化させるのであります。
最新の波長308nmエキシマライトは、世の中の皮膚難病の治療に貢献できます。
308 nm エキシマライトは,乾癬治療に理想的な光線治療であります
乾癬に対して、313 nm、334 nm、365 nm、405 nmでは、313 nm が最も効果があります。また、254 nm、280 nm、290 nm、296 nm、300 nm、304 nm、313 nmで、296 nm 以上であれば、紅斑反応を生じる照射量で乾癬に効果がみられたが、290 nm以下では紅斑反応が生じるのみで乾癬に効果がみられなかった。313 nmのみが,紅斑を生じる照射量以下でも効果が見られた.すなわち,313 nmでは最少紅斑量(minimal erythemadose,MED)以下でも,乾癬に効果があることが明らかとなり,最少紅斑量(minimal erythema dose,MED)を基準とすナローバンド UVB のスタンダードレジメンという照射方法が確立するに至った5.
この結果から,各波長の乾癬の治療効果が確認できる最少光量(minimal psoriasis treatment dose,MPsD)が得られるが,その逆数(1/MPsD)を取ることで、波長ごとの効果を示すことができる.同時に,MED の逆数(1/MED)を取ることで,波長ごとの赤くなりやすさ(紅斑反応の起こしやすさ)を示すことが出来る).乾癬に対する効果波長(1/MPsD)と紅斑作用波長(1/MED)には差があることがわかり,効果波長のピークは 300 nm よりすこし長い波長にあることが明らかとなった.波長が短くなれば,発癌性の問題もあり、過剰な紅斑反応を引き起こし,治療上の大きな問題となり,効果波長と紅斑作用波長をわることで、赤くならなく(なりにくく)治療効果が高くなる計算値を推定した60)。303 nm、305 nm、307 nm にピークがあり、長波長側で紅斑作用が少ない波長を選ぶとすれば、307 nm となる60)。
あくまでも計算値であるが、効果の点から考えれば、308 nm エキシマライトは、乾癬治療に理想的な光線治療と言えるだろう。